
薬剤耐性遺伝子
目次
メカニズム
これらの耐性遺伝子は、薬剤に対する耐性を獲得するための様々なメカニズムをコードしています。
一部の薬剤耐性遺伝子は、薬剤を不活性化する酵素を生成したり、薬剤の細胞内への取り込みを阻害したりします。
他の遺伝子は、薬剤の標的となる分子の構造を変更して薬剤が正常に機能しなくするものもあります。
実験への応用
クローニングしたい遺伝子(=目的遺伝子)をコードしたプラスミドに薬剤耐性遺伝子を加えることで、目的遺伝子が導入された細胞を抗生物質への暴露によって選択出来ます。
具体的な実験手順の例は以下です。
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- 薬剤耐性遺伝子と目的遺伝子がコードされたプラスミドを構築します。
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- 大腸菌などの目的遺伝子を導入したい宿主細胞を培養し、形質転換によってプラスミドを宿主細胞へ導入します。
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- 形質転換後の宿主細胞の集団には、プラスミドが導入された細胞とそうでない細胞が混在しています。そこで、薬剤耐性遺伝子が標的とする薬剤を形質転換後の培養液に加えることで、プラスミドが導入された細胞のみを選択します。
水平伝播
薬剤耐性の獲得は多くの場合、自然発生する突然変異によるものですが、それに加えて細菌間での遺伝情報の水平伝播(外部で取得したDNAを新たな細菌に組み込む能力)も重要な役割を果たしています。
この能力によって、一部の細菌が獲得した耐性遺伝子は短期間に他の細菌に広まることが可能になります。
問題点と対策
薬剤耐性遺伝子を含む細菌が広範囲に広がると、これらの抗生物質の効果が下がってしまい、そうした場合、感染が重篤化する可能性があります。
そこで、抗生物質の適切な管理と使用、新たな抗生物質の開発や新しい治療法の探求などが行われています。

