
細菌人工染色体
目次
構造および具体例
BACはFプラスミドの複製分配に関与する遺伝子が組み込まれたプラスミドベクターです。
既知のBACとしては、F因子を基にしたpBAC、pCYPAC、pBeloBAC、pECBACなどがあります。
応用
BACは、一度に大きな遺伝子断片を扱うことが可能で、ヒトゲノムなどのゲノムライブラリーの作製に利用されています。
実験手順
-
- ヒトゲノムDNAを適当な大きさに断片化します。
-
- BACを用意し、適切な酵素で開裂します。
-
- DNAリガーゼを用いて、ヒトゲノムDNA断片をプラスミドに結合します。
-
- 結合したプラスミドを大腸菌に導入します。
-
- 導入した大腸菌を培養し、多数のクローンを作ります。これらのクローン各々が、異なるヒトのDNA断片を含むBACとなります。
解析手順
-
- BACを導入した大腸菌からBACを抽出します。
-
- 抽出したBACのDNAをシーケンス(塩基配列の読み取り)します。
-
- DNAシーケンサーなどを用いて、BAC内のヒトゲノムDNA断片の塩基配列を解析します。
プラスミドとの比較
プラスミドは、細菌や酵母などの細胞に自然に存在する小さな環状のDNA分子で、その自己複製能力を利用した遺伝子導入装置として広く使われています。
ただし、プラスミドはその大きさの制約から、あまり大きな遺伝子断片は扱えません。長くても5kb程度です。
コスミドとの比較
コスミドベクターは、プラスミドとウイルス(バクテリオファージ)の特性を組み合わせたもので、より大きな遺伝子断片(約55kb)を扱うことができます。

