
ヒストンテール
目次
修飾
ヒストンテールのアミノ酸残基はアセチル化、メチル化、リン酸化などの修飾を受け、これにより表現される遺伝子の規定や調節が行われます。
例えば、ヒストンのアセチル化は一般的に遺伝子の発現を活性化すると言われており、これはヒストンとDNAとの間の静電気的結合を緩和し、DNAが転写因子によりアクセスしやすくなるためです。
実験
ヒストンテール修飾の研究には、ChIP-Seqなどのクロマチン免疫沈降(ChIP)系の技術が多く用いられます。
特異的な抗体を使用してヒストンテールの修飾部位を標的化し、その後のDNA断片の配列解析により修飾がどの遺伝子領域で行われていたかを特定します。
構造とメカニズム
ヌクレオソームは、ヒストンオクタマー(二つのH2A-H2Bダイマーと二つのH3-H4ダイマー)とそれに巻き付く約147塩基対のDNAで構成されています。そしてヒストンタンパク質H2A、H2B、H3、H4のN末端テールがDNAを取り巻くこの核に突き出していて、これがヒストンテールです。ヒストンテールは主にリシン、アルギニンなどの陽イオン性アミノ酸で構成されており、DNAや他のタンパク質と相互作用を示します。
具体例
典型的なヒストンテール修飾として、ヒストンH3のリシン27位のトリメチル化(H3K27me3)があります。
またH3のリシン4位のトリメチル化( H3K4me3 )は遺伝子のプロモーター領域に富み、遺伝子の発現を活性化することが知られています。
歴史や経緯
ヒストン自体は19世紀末に発見されましたが、そのDNAに対する役割やヒストンテールの存在は20世紀に入ってから明らかにされました。近年では、ヒストンテールの修飾とその影響に多くの研究が注がれ、癌などの病態との関わりも明らかにされつつあります。

