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ベクター

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目次

クローニングベクター

クローニングベクターは、DNA断片を挿入し、増幅するために使用されるツールです。これらのベクターは、主に遺伝子のクローニングとDNA配列の解析に使用されます。

特徴

  • マルチクローニングサイト(MCS): 様々な制限酵素認識サイトを持ち、多様なDNA断片を挿入できる領域。

  • 選択マーカー: アンピシリン耐性遺伝子など、細菌における選択的増殖を可能にする遺伝子。

  • 高いDNA挿入容量: 比較的大きなDNA断片の挿入が可能。

  • 単純な構造: DNAの挿入と増幅に特化しているため、比較的単純な構造。

具体例

pBR322は、遺伝子クローニングによく使われる低コピー数(1細胞あたりのプラスミド数)のプラスミドベクターの一つです。このプラスミドは、アンピシリンおよびテトラサイクリン抵抗遺伝子を持っており、これらの抗生物質中でのみ生存可能な大腸菌に選択的に増殖させることが可能です。pBR322の他にはpUC19という高コピー数のプラスミドベクターもあります。

なお、プラスミドベクターの名称は、一般的には「p」に続けて命名者のイニシャルや番号、特性などに基づいてつけられます。例えば、pUC19は、「p」はプラスミド、「UC」は発見者の大学(University of California)、「19」はシリーズの番号を指します。

ウイルスベクターとの比較

プラスミドベクターとウイルスベクターは、両方とも外来の遺伝子を細胞に導入するためのベクターとして機能します。

しかし、ウイルスベクターは生物的な感染能力を利用するため、より効率的に遺伝子を細胞に導入することが可能です。

発現ベクター

発現ベクターは、クローニングされた遺伝子を宿主細胞内で発現させるために特化されたツールです。これにより、タンパク質の生産や機能解析が可能になります。

特徴

  • プロモーター: 強力なプロモーターを持ち、高レベルの遺伝子発現を促進。

  • タグ配列: タンパク質の精製や検出を容易にするためのヒスチジンタグやFLAGタグなど。

  • シグナル配列: タンパク質の適切な輸送や分泌を指示する配列。

  • 発現調節配列: 発現レベルの調節や特定の条件下での発現を制御する配列。

具体例

pETシリーズ(大腸菌での発現)、pGEXシリーズ(GSTタグ付きタンパク質の発現)、pMALシリーズ(マルトース結合タンパク質の融合タンパク質発現)などがあります。

参考書籍

バイオ実験基本セット

バイオ実験イラストレイテッド

生命科学基礎セット